#0336|重要文化財 旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)保存修理工事報告書

#0336|重要文化財 旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)保存修理工事報告書

近代郵便建築の保存修理と耐震補強を記録した報告書


書誌情報

書名|重要文化財 旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)保存修理工事報告書

著者/編著|日本郵政株式会社・公益財団法人明治村(著作・編集)

出版社|日本郵政株式会社

初版|2023年3月1日

版|初版

判型|A4判

ページ数|215ページ(以降、資料、古図、写真、図面あり)

サイズ|210×297×20mm

重量|-

言語|日本語

ISBN-10|-

ISBN-13|-

定価|非売品

分類|Monograph


この本について

本書は、博物館明治村に移築保存されている重要文化財「旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)」について、2015年9月から2022年10月にかけて実施された耐震対策事業および保存修理事業をまとめた工事報告書である。

旧伊勢郵便局舎は、三重県宇治山田市(現在の伊勢市)に建設された木造平屋建の郵便局舎で、1909年(明治42年)に竣工した。設計は逓信技手の白石圓治、工事監督は石渡喜三郎が担当した。円形状の中央棟から東西の翼屋が延びる特徴的な平面構成をもち、中央棟正面の円形屋根や両翼部のドーム屋根などによって変化に富んだ外観を形成している。明治期の本格的な木造郵便局舎として希少な遺構であり、1999年に重要文化財に指定された。

建物は1969年(昭和44年)の明治村への移築後、長期間にわたり保存・公開されてきた。移築から45年以上が経過したことなどを背景として、2014年に日本郵政株式会社と公益財団法人明治村との間で耐震改修・修理等に関する協定が締結され、2016年度には耐震基礎診断が実施された。その結果を踏まえ、2019年から本格的な保存修理工事が進められた。

内容は、第1章「建造物の概要」、第2章「事業の概要」、第3章「耐震診断及び耐震補強」、第4章「現状変更」、第5章「施工内容及び実施仕様」、第6章「調査事項」で構成されている。

第1章では重要文化財指定、修理履歴、主要寸法、構造形式に加え、明治期の逓信建築の歴史と宇治山田郵便局舎の位置づけを整理している。設計者である白石圓治についても独立した節が設けられており、建築史・逓信建築史の資料としても重要である。

第3章では、構造上の特徴、建設地における被災地震、調査、限界耐力計算、構造モデル、荷重・外力などを通して耐震診断の過程を記録し、それに基づく補強方針、補強方法、補強後の耐震性能、各部の検討を収録している。文化財建造物に対してどのように構造性能を評価し、保存と耐震性を両立させたかを確認できる。

第5章では実際の保存修理について、仮設、解体、屋根、板金、木工、基礎、石工、建具、左官、内装、外構、塗装など工種ごとに修理概要、材料、工法を記録する。さらに、附属する切手倉庫については煉瓦造復原工事を独立して扱い、意匠設計、構造設計、施工まで詳細に記録している。

第6章では、修理工事に伴って明らかになった建築計画、番付・墨書、基礎、床・床組、軸部、小屋組、屋根、外壁、建具、内壁・造作、塗装などの調査成果を整理している。切手倉庫についても、構造形式、既存コンクリートブロック壁、煉瓦壁、鉄製建具、耐火天井、石材、使用煉瓦の製造地などが調査対象となっている。

また、竣工写真、修理前写真、古写真、史料に加え、竣工時・修理前の平面図、立面図、断面図、天井伏図、設備図など多数の図面を収録する。切手倉庫煉瓦積復原工事についても施工図32枚が収められており、建物の構法や修理内容を具体的に検証できる。

既刊の『明治村建造物移築工事報告書 第十集 宇治山田郵便局(旧伊勢郵便局)』が明治村への移築・復原を記録した資料であるのに対し、本書はその後の保存状態の調査、耐震診断、保存修理および新たに判明した知見をまとめた資料である。両書を併用することで、創建時から移築、そして現代の保存修理に至る建物の変遷を追跡でき、近代建築史、文化財保存、修理設計の研究だけでなく、文化財建造物のBIM化や維持管理情報を整理する際の基礎資料としても資料価値が高い。


引用|日本郵政株式会社・公益財団法人明治村『重要文化財 旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)保存修理工事報告書』日本郵政株式会社, 2023.