#0334|明治村建造物移築工事報告書 第七集|名古屋衛戍病院

#0334|明治村建造物移築工事報告書 第七集|名古屋衛戍病院

明治初期の陸軍病院建築と移築保存を記録する報告書


書誌情報

書名|明治村建造物移築工事報告書 第七集 名古屋衛戍病院(愛知県指定有形文化財)

著者/編著|博物館明治村 編

出版社|博物館明治村

初版|1992年3月(平成4年3月)

版|初版

判型|A4判変形

ページ数|110頁

サイズ|215×304×8mm

重量|-

言語|日本語

ISBN-10|なし

ISBN-13|なし

定価|-

分類|Monograph


この本について

『明治村建造物移築工事報告書 第七集 名古屋衛戍病院』は、博物館明治村に移築保存された愛知県指定有形文化財「名古屋衛戍病院」について、その沿革、建築的特徴、移築工事、復原考証および歴史的評価をまとめた工事報告書である。

名古屋衛戍病院は、明治11年(1878)に旧名古屋城内に創建された陸軍病院で、フランスに範をとった明治初期の陸軍施設の一例であるとともに、日本における近代病院建築の初期例として位置づけられる。建物はのちに国立名古屋病院で使用され、博物館明治村への移築を経て、昭和39年(1964)11月に移築竣工、翌昭和40年3月に一般公開された。

本書は全5章で構成される。第一章「建造物の概要」では、文化財指定、規模、構造形式などの基礎情報を整理し、第二章「移築工事」では、移築前の破損状況、移築時の変更、形式・技法、実施工程、工事仕様、工事費、工事組織を記録している。第三章「建造物の歴史的沿革」では、創建に至る経緯から設計・施工、国立名古屋病院時代、明治村への移築までを史料に基づいて検証している。

第四章「建造物の再現」では、管理棟、病棟、全体配置について、残された図面や史料を比較しながら過去の状態を考証する。第五章「建造物の歴史的評価」では、日本における陸軍施設、病院建築、日本近代建築史、社会史という複数の視点から建物の位置づけを論じている。

特に重要なのは、洋風建築としての外観や平面構成だけでなく、その建設を支えた日本在来の建築技術についても記録している点である。玄関や窓、天井などは洋風の意匠で構成される一方、小屋組などの見えない部分には和風の手法や丸太材が用いられており、明治初期における西洋建築受容と日本の伝統的施工技術との関係を読み取ることができる。

資料編も充実しており、旧名古屋城内、国立名古屋病院、明治村それぞれの時期の配置図をはじめ、病棟・管理棟の復原検討図、歴史資料など多数の挿図を収録する。さらに、古写真、解体前写真、解体工事写真、移築工事写真、参考写真が掲載されている。

巻末図面には、配置図、平面図、立面図、基礎伏図、床伏図、天井伏図、小屋伏図、屋根伏図、矩計図、玄関詳細図、外回廊詳細図、上げ下げ窓詳細図、各所窓口詳細図などを収録する。これらには移築時に作成された保存図に加え、刊行にあたって再調査・実測して作成された保存図も含まれており、建物の構法や細部を把握するための一次資料として価値が高い。

名古屋衛戍病院という一建築の移築記録にとどまらず、明治初期の軍事施設・病院建築の成立、西洋建築の受容、日本の伝統技術との融合、さらに文化財としての移築保存までを総合的に検証できる資料である。保存修理や復原研究に加え、現況建物と過去の図面・写真を照合する際の基礎資料としても有用な一冊である。


引用|博物館明治村 編『明治村建造物移築工事報告書 第七集 名古屋衛戍病院』博物館明治村, 1992.