#0315|建築雑誌 1987年12月号|Journal of Architecture and Building Science

#0315|建築雑誌 1987年12月号|Journal of Architecture and Building Science

旧帝国ホテル中央玄関の構造と復元を読み解く


書誌情報

書名|建築雑誌 1987年12月号

英題|Journal of Architecture and Building Science

巻号|Vol.102, No.1267

著者/編著|日本建築学会

出版社|日本建築学会

初版|1987年12月20日

版|第102集・第1267号

判型|A4判程度

ページ数|130頁

サイズ|未計測

重量|未計測

言語|日本語

ISSN|0003-8555

ISBN-10|なし

ISBN-13|なし

定価|1,300円

分類|Periodical|雑誌 / Structure|構造


この本について

本号は、日本建築学会が発行する『建築雑誌』の1987年12月号(Vol.102, No.1267)である。

特集「中心と周縁」を中心に、建築ジャーナリズム、木造建築文化、住宅生産、都市とエネルギーなどの記事を収録している。

旧帝国ホテルに関する資料として注目したいのが、pp.12–13に掲載された「構造パースペクティブ 旧帝国ホテル中央玄関」である。

フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル中央玄関について、明治村への移築・復元後の構造を立体的な構造パースによって示し、西尾雅敏による「設計者解説」と金多潔による「構造評」を掲載している。作図は鹿島建設。

構造パースでは、外観や室内空間からは把握しにくい柱、梁、壁、床版などの構造体を分解して表現しており、ライトの建築を意匠だけでなく構造の側面から理解できる資料となっている。

西尾雅敏の解説では、1967年の解体から明治村での復元まで17年にわたる工事に触れながら、レンガや大谷石を打ち込み型枠とするRC造、鉄骨による柱の補強など、旧帝国ホテルの特徴的な構造について説明している。

一方、移築復元に際しては、原設計者の構造上の工夫を当時の法規の中でそのまま再現することが困難であったことから、本来一体であった構造と意匠を分離して検討せざるを得なかったことも記されている。

金多潔による構造評では、ライトが鉄筋コンクリート構造を巧みに取り入れ、大谷石を化粧材とした組積造と組み合わせた構造について評価するとともに、旧帝国ホテルが抱えていた地盤と基礎の問題についても言及している。

特に、軟弱地盤による不同沈下や雨水による土砂の流出、基礎下の土の流動などによって建物の一部が沈下していたこと、修理工事において沈下部分をジャッキアップして基礎を安定させたことなど、明治村移築後の修理に関する記述は重要である。

さらに、壁や床スラブについてはコンクリートを打設し直して再生する一方、鉄筋の配列については安全性を再確認したうえで原設計どおりに復原したことが記されている。

わずか2ページの記事ではあるが、旧帝国ホテル中央玄関の構造、移築復元、さらにその後の修理までを考えるための資料として価値が高い。


引用|日本建築学会『建築雑誌 1987年12月号』日本建築学会, 1987.