#0312|帝国ホテル建築物語|The Imperial Hotel Building Story

#0312|帝国ホテル建築物語|The Imperial Hotel Building Story

ライト館建設に挑んだ人々の苦闘を描く歴史小説


書誌情報

書名|帝国ホテル建築物語
英文書名|The Imperial Hotel Building Story
著者/編著|植松三十里
出版社|PHP研究所
初版|2019年4月22日
版|第1版第1刷
判型|四六判
ページ数|310頁
サイズ|135×195×27 mm
重量|-
言語|日本語
ISBN-10|4569842761
ISBN-13|978-4-569-84276-9
定価|1,800円+税
分類|Theory|建築史・歴史小説


この本について

本書は、1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、通称「ライト館」の建設を題材とした、植松三十里による歴史小説である。

フランク・ロイド・ライトによる設計そのものだけでなく、帝国ホテルの発展を目指した大倉喜八郎や渋沢栄一、アメリカで古美術商として活動していた林愛作など、ライト館の実現に関わった人々を軸に、その建設過程を物語として描いている。

「果てなき図面」「登り窯の里」「待ちわびた着工」「激動の竣工」など、設計、材料調達、着工、竣工へと建築の進行に沿って物語が展開する。ライトという建築家個人の作品としてではなく、施主、経営者、技術者、職人など、多くの「人」の側からライト館成立の過程を読み解ける点が本書の特徴である。

また、プロローグとエピローグでは、帝国ホテル旧本館の解体から明治村への移築・復原に至る経緯が描かれている。佐藤栄作首相からの突然の依頼を契機として、谷口吉郎と名古屋鉄道社長・土川元夫らが移築保存に奔走する姿が描かれ、建設時だけでなく、保存に関わった人々へと物語がつながっている。

移築決定後、1970年(昭和45年)3月18日に地鎮祭が行われ、1976年(昭和51年)に外観が公開されたが、この段階では内装までは完成していなかった。土川元夫、佐藤栄作に続き、1979年(昭和54年)2月には谷口吉郎も死去。その後4年間の準備期間を経て、1983年(昭和58年)11月に中央玄関の内装工事が着工し、1985年(昭和60年)10月に内部まで含めた公開に至った。受け入れ決定から完成まで17年を要したことになる。

「ライト館」の当初予算は当時130万円で、着工後にライトが出した見積額は約250万円だった。しかし、完成時の総工費は900万円を超えていた。

一方、明治村での復原は当初3億円あまりと見込まれていた。移築に際して国は1億円を出すとしていたものの、最終的な助成金はその10分の1となる1,000万円にとどまった。その後も長期にわたって復原工事が続き、受け入れ決定から内部公開までの17年間に要した総工費は約11億円に達した。日比谷での建設だけでなく、半世紀後の移築・復原もまた、長い年月と莫大な費用を要する一大事業であったことがわかる。

「すさまじい力を放った巨人は、今は明治村の北端で静かにたたずんでいる。」

なお、本書は『歴史街道』2017年11月号から2018年6月号に連載された「果てなき図面 帝国ホテル建築物語」を改題し、加筆・修正して単行本化したもので、一部にフィクションを交えながら史実に基づいて構成されている。



引用|植松三十里『帝国ホテル建築物語』PHP研究所, 2019.


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