#0340|国登録有形文化財(建造物) 長崎居留地二十五番館 修理工事報告書

#0340|国登録有形文化財(建造物) 長崎居留地二十五番館 修理工事報告書

明治村の長崎居留地二十五番館の保存・修理工事報告書


書誌情報

書名|国登録有形文化財(建造物) 長崎居留地二十五番館 修理工事報告書
著者/編著|公益財団法人 明治村(著作・編集)
出版社|公益財団法人 明治村
初版|2019年10月1日
版|初版
判型|A4判
ページ数|本文192ページ(以降写真・図面・付録)
サイズ|210×297×19mm
重量|-
言語|日本語
ISBN-10|なし
ISBN-13|なし
定価|非売品
分類|Detail|ディテール/保存修理工事報告書


この本について

『国登録有形文化財(建造物) 長崎居留地二十五番館 修理工事報告書』は、博物館明治村に移築保存されている長崎居留地二十五番館について、2015年から2019年に実施された保存修理工事と、それに伴う調査成果をまとめた報告書である。

長崎居留地二十五番館は、長崎の旧外国人居留地である南山手25番地に建てられた木造洋風住宅で、本館と別館の二棟から構成される。調査によって、本館は1889(明治22)年、別館は1909(明治42)年の上棟と考えられている。1966(昭和41)年に博物館明治村へ移築され、現在は展示建造物として保存・公開されている。

本館は桁行約15m、梁間約15.5mの正方形に近い平面をもち、正面および両側面にベランダを巡らせたコロニアル様式を特徴とする。別館は本館の約20年後に増築されたもので、両棟を比較することで、明治中期から後期にかけての居留地住宅における平面計画や構法、建築技術の変化を読み取ることができる。

報告書は「建造物の概要」「移築工事及び修理履歴」「保存修理工事の概要」「施工と調査」の4章を中心に構成される。建物の沿革や文化財登録、規模・構造形式から、1966年の移築工事、その後の修理履歴、今回の保存修理工事までを体系的に記録している。

特に第4章「施工と調査」は資料性が高く、耐震補強・耐震診断、番付墨書、基礎、床板・床組、軸組、小屋組、屋根、樋・軒廻り、外壁、内壁・天井、内部造作、煙突、建具、塗装、設備、外構について、材料・技法、破損状況、修理内容を部位ごとに整理している。修理に伴う詳細な番付調査から、本館の小屋組と軸組が一体となった構法上の特徴も明らかにされている。

また、別館増築に伴う平面計画や構法の変化に加え、木材表面に木目を描く「杢目塗」など、洋風建築に用いられた特徴的な塗装技術についても調査・復原が行われている。こうした記録は、明治期の洋風住宅における意匠と施工技術を検討するうえで重要な資料となる。

写真・図面資料も充実している。竣工写真、修理前写真、史料写真に加え、移築解体前・移築解体時・移築再建時の写真を収録し、建物が長崎から明治村へ移築された過程を追跡できる。図面についても、竣工時および修理前の平面図・立面図・断面図・基礎伏図・床伏図・小屋伏図・屋根伏図などが収められている。

さらに、今回の修理工事における実測調査だけでなく、移築時に作成された保存図、古写真、歴史資料を照合している点も本書の特徴である。建物の創建、増築、移築、修理という複数の時間層を一冊の中で比較でき、現存する建物だけからは把握しにくい変遷を検証できる。

長崎外国人居留地の歴史、明治期の洋風住宅の構法・意匠、移築保存の経緯、現代の保存修理・耐震補強までを横断的に記録した資料であり、文化財建築の保存修理だけでなく、実測図や修理履歴をもとにしたBIMモデルの構築・履歴情報整理においても有用な基礎資料である。


引用|公益財団法人明治村(著作・編集)『国登録有形文化財(建造物) 長崎居留地二十五番館 修理工事報告書』公益財団法人明治村, 2019.