#0332|明治村建造物移築工事報告書 第五集|聖ヨハネ教会堂

#0332|明治村建造物移築工事報告書 第五集|聖ヨハネ教会堂

移築・修理・再調査から建物の変遷を読み解く記録


書誌情報

書名|明治村建造物移築工事報告書 第五集 聖ヨハネ教会堂(重要文化財 旧日本聖公会京都聖約翰教会堂)
著者/編著|博物館 明治村 編
出版社|博物館 明治村
初版|1988年3月(昭和63年3月)
版|初版
判型|A4判変形
ページ数|130ページ
サイズ|215×304×13mm
重量|-
言語|日本語
ISBN-10|なし
ISBN-13|なし
定価|-
分類|Monograph|建築調査・移築工事報告書


この本について

『明治村建造物移築工事報告書 第五集』は、博物館明治村に移築保存されている**聖ヨハネ教会堂(重要文化財 旧日本聖公会京都聖約翰教会堂)**について、創建から移築、修理、再調査までの経緯を体系的にまとめた建築調査・工事報告書である。

聖ヨハネ教会堂は、日本聖公会京都教区における最古の教会を前身とし、明治40年(1907年)に京都市下京区河原町通五条下ル本塩竈町に建設された。設計は、宣教師・教育者・建築家として日本で活動した**ジェームス・マクドナルド・ガーディナー(James McDonald Gardiner, 1857–1925)**による。1階を煉瓦造、2階を木造とする特徴的な構成をもち、ゴシックとロマネスクの要素を併せ持つ外観と、中世建築のモチーフを取り入れた内部空間を特徴とする。

建物は台風などによる被害や部分的な改修を受けながら使用されたが、昭和37年(1962年)頃から維持管理が困難となり、明治村への移築保存が決定された。昭和38年(1963年)に実測調査と解体が行われ、昭和39年(1964年)2月に移築工事に着手。同年12月に竣工し、翌昭和40年(1965年)3月18日の博物館明治村開村と同時に一般公開された。同年5月29日には重要文化財に指定されている。

本書は「建造物の概要」「移築工事」「調査事項」を中心に構成され、創立沿革、移築前の破損状況、移築に伴う変更、形式・技法調査、発見物・関連資料、設計者ガーディナーに関する調査などを収録する。さらに、昭和55年度に実施された部分修理工事の概要、年表、建築・教会用語解説も掲載されている。

掲載図面は、昭和55年(1980年)の部分修理時に作成され、文化庁へ提出された保存図を基本としている。竣工一・二階平面図、各立面図、桁行・梁行断面図、矩計図、小屋組断面図、玄関詳細図、塔屋・階段室詳細図、窓詳細図などが収録され、建物の構造・意匠・納まりを具体的に把握できる。

写真資料も充実しており、古写真、移築前写真、解体写真、施工写真、現状変更写真、資料写真など149点を収録する。なかには移築工事当時の工事監督が撮影した原板から複写された写真も含まれ、解体から再構築に至る工程を視覚的に追跡できる。

また、本書は移築直後にまとめられた単純な工事記録ではない。昭和55年度の屋根部分修理と保存図作成に伴う実測調査、その後の再調査によって得られた知見を加えて編集されている。京都聖ヨハネ教会、日本聖公会京都教区、立教大学図書館・資料室などが所蔵する歴史資料も参照されており、創建、改変、解体調査、移築、修理、再調査という建物の時間的変遷を横断的に検証できる資料となっている。

歴史的建造物の保存・移築において、どの部材や形式が継承され、どの部分が変更・修理されたのかを、文章・図面・写真の相互参照によって確認できる点に本書の大きな資料価値がある。文化財建築の実測、復原、修理履歴の整理に加え、既存建物の状態や変遷を情報として扱うBIMモデルを構築する際にも、有力な基礎資料となる一冊である。


引用|博物館 明治村 編『明治村建造物移築工事報告書 第五集 聖ヨハネ教会堂(重要文化財 旧日本聖公会京都聖約翰教会堂)』博物館 明治村, 1988.

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