#0271 コルビュジエとはだれか|磯崎新

Le Corbusier

Category|書籍

Language|日本語

Contents|ル・コルビュジエ 随筆

Author|磯崎新

Publisher|王国社

Publication date|2000/2/29_2007/7/29(4)

Type|ソフトカバー

Pages|205

Size|139×196×21

Weight|

Price|1850-YO-500-0-500-20220114

ひとりの男のうしろ姿を撮った一枚のスナップが、私にはどうも忘れられないでいる。それは、地中海の光景だ。まったいらにひろがる水平線、おそらく、焼きついた浜辺の小石のうえを、おどるようにとびはねながら、海へむかっているひとりの老人の水着姿なのだ。

その老人は、焼けた小石を拾ったのか、あの意外に冷たく、流れのきつい海に沈もうとしているのか、もはやどちらでもいい。

ルシアン・エルヴェの撮影したこのスナップは、いうまでもなく、ル・コルビュジエその人なのだが、これまで作品集はじめいたるところに登場した、円型の黒ぶち眼鏡、蝶ネクタイ姿のすました顔の男ではなく、放心して、一瞬自然のなかに埋没したかのような、無防備な姿勢が、そのまま記録されてしまっている。

引用|コルビュジエとはだれか

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