#0348|重要文化財 自由学園明日館講堂保存修理工事(耐震対策)報告書

#0348|重要文化財 自由学園明日館講堂保存修理工事(耐震対策)報告書

遠藤新設計の講堂、その変遷と耐震修理を記録した報告書


書誌情報

書名|重要文化財 自由学園明日館講堂保存修理工事(耐震対策)報告書
著者/編著|公益財団法人 文化財建造物保存技術協会(編集・著作)
出版社|学校法人 自由学園
初版|2017年(平成29年)10月
|初版
判型|未確認
ページ数|73ページ + 写真
サイズ|210×297×17mm
重量|-
言語|日本語
ISBN-10|記載なし
ISBN-13|記載なし
定価|非売品
分類|Monograph|保存修理工事報告書/文化財建築/建築史/Detail|ディテール


この本について

本書は、重要文化財「自由学園明日館講堂」の保存修理工事(耐震対策)について、建物の沿革、調査、設計方針、施工内容および工事記録をまとめた報告書である。

自由学園明日館講堂は、1927年(昭和2年)に竣工した木造建築で、フランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新が設計した。中央の平土間と両脇の高土間によって内部空間を三分割する構成は、建物高さを抑えながら耐震性や音響効果にも配慮したもので、「遠藤新の三枚おろし」と呼ばれる代表的な空間構成の一つとされる。

講堂は1997年(平成9年)、明日館の中央棟・東教室棟・西教室棟とともに重要文化財に指定された。その後の耐震診断を踏まえ、2014年11月から2017年10月まで36か月にわたり保存修理事業が実施された。修理では文化財としての内部空間の雰囲気を維持しながら耐震性能を向上させるとともに、外部を昭和2年の建設当初の姿へ復原することが図られた。

第1章「概説」では、事業概要、明日館と講堂の概要、重要文化財指定、建物の規模・構造形式、事業経過を整理する。講堂は木造、一部2階建、建築面積403.3㎡で、切妻造、左右塔屋付き、鉄板葺とされている。

第2章「調査と施工」は本書の中心をなし、破損状況、講堂の変遷、現状変更を整理したうえで、仮設、解体、基礎、木、屋根、左官、建具、塗装、雑、構造補強、設備の各工事について、在来工法と実施仕様を記録している。特に構造補強については耐震診断と実施仕様が独立した項目としてまとめられており、文化財建築における耐震改修の具体的な記録となっている。

第3章では「遠藤新と作品」として、遠藤新の生涯、建築思想、作品と類例建物を収録し、講堂を単独の建築物としてではなく、遠藤新の建築活動の中に位置付けている。第4章「史料」には古写真と古図面が収録され、建設当初の姿やその後の変遷を検証するための一次資料がまとめられている。

巻末には、竣工時・修理前・解体・組立など工事各段階の写真と、竣工時および修理前の平面図・立面図・断面図などが掲載されている。建物の「竣工時―変遷―修理前―解体―補強―復原」という時間的な変化を、文章、写真、図面、施工記録によって追跡できる点が本書の大きな資料的特徴である。

文化財建築の保存修理記録としてだけでなく、既存建物の履歴、部材、改変、修理、補強を時系列で情報化する文化財BIMにおけるフェーズ設定や部材履歴管理を検討するための基礎資料としても有用な一冊である。


引用|公益財団法人文化財建造物保存技術協会(編著)『重要文化財 自由学園明日館講堂保存修理工事(耐震対策)報告書』学校法人自由学園, 2017.

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