Category|写真集
Language|日本語
Contents|ル・コルビュジエ チャンディガール
Author|企画・撮影:二川幸夫、文:吉阪隆正
Publisher|A.D.A. EDITA Tokyo
Publication date|1974/6/17
Type|ペーパーバック
Pages|59
Size|259×364×7
Weight|
ISBN-10|-
ISBN-13|-
Price|2600-YO-16000-880-16880/7=2441-20210911
裁判所の基礎を掘っていた頃、未来のパンジャブ州都のできる土地を私がはじめて訪ねたのは、1952年の秋の暮だった。貧乏書生の旅行のこととで、デーリーから四等車の夜行で向ったのだった。同じ客車には無賃乗車の人々が沢山のりこんでいて、毛布一枚にくるまって、通路といわず一寸した隙間にもふるえながらうずくまっていた。
はじめ無札とは知らなかったので、席を譲り合おうとしたら、「お前は切符を買っているから、堂々と寝ていなさい。しかし足を曲げたためて‘きた空きに、人が坐ったら、それを押しのけてはいけない。」と親切に注意してくれた人がいた。そういわれて見ると、列車が停車するたびに大勢下車し、発車しかけると皆いっせいに乗車するのは、まさにただのりの連中だったのだ。
午前四時だろうか、まだ星空で真暗かった。かの親切な男がチャンディガールヘ行くならここで下車しなさいと教えてくれた。疑う気もち半分で荷をまとめて下車したのだが、他に下車したのは一、二名だ。何もない原っぱのような所に降り立って暗闇の中をすかして見ると小舎らしいものが一つだけで、灯もともっていない。そのうち汽車は出ていってしまった。
引用|GA No.30 Le Corbusier Chandigarh, The New Capital of Punjab, India. 1951-