Category|芸術新潮
Language|日本語
Contents|特集 安藤忠雄が語るル・コルビュジエの勇気ある住宅
Author|
Publisher|新潮社
Publication date|2001/9/1
Type|ペーパーバック
Pages|144
Size|210×284×8
Weight|
Price|YO- 2021
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どんなに小さくても、大きな可能をもっているのが住宅のおもしろさだと思います。ル・コルビュジ工の、あの8畳しかない箇素なカプ・マルタンの休暇小屋がそのことを雄弁に語っています。どこをとってもこの人らしさが出ているでしょう。
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逆にいうと、小さい住宅であればあるほど、建築家のテーマとメッセージが厳しく問われるのです。ただ単純に使い勝手やコスト、見た目のバランスばかりを優先した、テーマもメッセ—ジもない小さい住宅はみじめなだけです。「住宅は住むための機械である」とかつて言いきったル・コルビュジエは、人間の生活の極限をいつも追い求めていたのではないでしょうか。
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実際、終の栖となったカプ・マルタンの休暇小屋の3.66×3.66メートルという平面は、人が住む広さとしては極限に近いと思うのです。生活のための必要最小限の、けれど心地よい空間を、最後まで求めて実験していたことの証拠が、カプ・マルタンの休暇小屋なのでしょう。
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引用|GEIJUTSU SHINCHO Le Corbusier 安藤忠雄が語るル・コルビュジエ